NMC

N.M.Cは内科・小児科クリニックとして、先代よりこの街の医療を担ってきました。
古い住宅街の中の幹線でなく狭く曲った道路沿いにある立地は、口コミでの患者さんに来ていただける良いものであるようです。この地にふさわしい、狭い道路を抜けたところにぽっかりあいた日溜りのような空間をイメージして計画が始まりました。

敷地外に既存の駐車場があることから、建物を敷地の南側に寄せ、前面道路側にオープンスペースを設け車寄せとしました。敷地いっぱいを覆うような大きな屋根が日頃より弱くなった体や心を迎え入れ包み込みます。内外を分けるコンクリートの壁は屋根を支えず自立し、屋根との間にできた隙間が四周をまわる窓になっています。この窓は、街との関係をつくりつつ内部に必要な明るさを得るために、また夜間はクリニックから漏れる光が常夜灯のように町に安心感を与えるために存在します。1階は全てが診療スペースとなっており、中庭を中心にした回遊式の平面計画となっています。待合室・キッズコーナーには中空に浮いたプレイスペースがあります。見守りの出来る囲われた空間は子供達の基地であり、地域に開いた窓となっています。スタッフスペースのある2階は診察スペースのある1階とは意図的に切りはなした空間ではありますが、中庭の緑をふところにいだいた計画とすることでお互いの気配を感じあえる構成にしました。植栽は街とクリニック、1階と2階が程良い距離感となるために施されています。

  • 所在地:福岡県北九州市
  • 敷地面積:474.29㎡
  • 建築面積:244.97㎡
  • 延床面積:273.48㎡
  • 主体構造:鉄骨造
  • 階数:地上2階建
  • 写真:岡本 公二
福岡の住宅設計

NCC

40年前の建築を減築し仮設に利用しながら行った、小児科内科医院の建て替え計画です。この地域のかかりつけ医であった先代の意思を受け継いだことを表わすよう、旧医院の風情を残す配置、空間構成、仕上の計画を行いました。
自立したRC壁と、細い柱で支えられた屋根の隙間から入る直射でない光が、静かに空間を満たしています。道路側の濃い緑と対比する花木の多い繊細な緑に囲まれたこの建物は、古くからのなじみのような姿をして患者さんを迎え入れています。

  • 所在地:福岡県
  • 敷地面積:821.43㎡
  • 建築面積:266.03㎡
  • 延床面積:274.80㎡
  • 主体構造:鉄骨造
  • 階数:地上2階建
  • 写真:岡本 公二

TCR

古い街並みの残る住宅街で先代より開院しているクリニック兼住宅の改装を伴う増築です。
直近で行われた増築による動線の不具合をシンプルに戻す事を主眼に計画しました
診療しながらの施工であったため、既存住宅部分の改装、仮診療所を兼ねるバックヤードの改装、既存医院部分の解体、そして増築に至るまでに足掛け3年の期間を要しました。素材やボリュームの違う3つのボックスにより構成された外観は、交通量の多い前面道路からのアイキャッチになります。
ハイサイドライトからの光が柔らかい表情を与える内部は、心地よい落ち着きのある空間となってます。

  • 所在地:福岡県
  • 敷地面積:494.91㎡
  • 建築面積:294,61㎡
  • 延床面積:450,24㎡
  • 主体構造:鉄骨造
  • 階数:地上2階建
  • 写真:岡本 公二

ICC

近隣には田畑の残る環境に計画されたこどもクリニックです。熱のある子、熱のない子、感染症の疑いのある子、ワクチンを接種に来る子たちが互いに交わらないような導線の工夫のほか、広い駐車場スペース、ぬれずに乗り降りできる大きな車寄せ、横になれる奥行きの広いベンチ、赤ちゃんのベッド、子どもたちが退屈しない様々な仕掛け、年長の子たちの読書コーナーなど、既存のクリニックでの診療を通じ蓄積されたたくさんのアイディアを丁寧に実現しました。いままでのクリニックのイメージを壊す事のないよう受け継ぐデザインを心掛けました

  • 所在地:熊本県
  • 敷地面積:4201,13㎡
  • 建築面積:590.91㎡
  • 延床面積:563,12㎡
  • 主体構造:S造
  • 階数:地上2階建

MHE

MMH(1995)に付属する施設として計画されました。
社会復帰支援施設|クリニック|事務所内保育施設|寮|の4つが複合したプログラムの施設になっています。保育施設を除く3つの施設はお互いが補完的であった為、いくつかの機能を共有し、かつ複雑にならない計画が練られました。素材や形も機能を視覚化するよう選択されており、特に保育施設は深い軒と内外に使われた木質素材が、より良く施設の性格を表しています。

  • 所在地:熊本県
  • 敷地面積870.22㎡
  • 建築面積555.51㎡
  • 延床面積:818.00㎡
  • 主体構造:S造
  • 階数:地上2階建

MCR

熊本県芦北町にある昭和34年に建てられた医院の外来診察部分の内部改装です。中廊下式であった旧いプランは廊下が薄暗い印象がありました。そこで全体を一室空間とし、アイランド状に設けられた診療室の廻りを回遊する導線を持つプランを提案しました。南側からの日射しは、中待合的性格の通路を横切り、パーティションの欄間から診察室に程良い光を供給します。またその光は奥の通路や治療コーナーへも、徐々に柔らかくなりながら届きます。白を基調とした空間ですが、床面に明るい色を使う事で旧いイメージを払しょくし、にぎやかで楽しげな雰囲気を演出しました。

  • 所在地:熊本県
  • 延床面積:184.2㎡
  • 主体構造:RC造
  • 写真:岡本 公二

MOC

住宅付クリニックとして計画された建築です。外観上は一体感のある建物ですが、2階部分にある住宅はクリニック駐車場や前面道路側から広いテラスと深い庇の奥になり視覚的にも機能的にも守られ独立しています。中廊下を持つプランではありますが、ハイサイドライトにより隅々まで光のとどく明るい内部空間となっています。

2000年くまもとアートポリス推進賞選賞受賞

  • 所在地:熊本県
  • 敷地面積:955.03㎡
  • 建築面積:349.07㎡
  • 延床面積:540.56㎡
  • 主体構造:RC造
  • 階数:地上2階建