N.M.Cは内科・小児科クリニックとして、先代よりこの街の医療を担ってきました。
古い住宅街の中の幹線でなく狭く曲った道路沿いにある立地は、口コミでの患者さんに来ていただける良いものであるようです。この地にふさわしい、狭い道路を抜けたところにぽっかりあいた日溜りのような空間をイメージして計画が始まりました。
敷地外に既存の駐車場があることから、建物を敷地の南側に寄せ、前面道路側にオープンスペースを設け車寄せとしました。敷地いっぱいを覆うような大きな屋根が日頃より弱くなった体や心を迎え入れ包み込みます。内外を分けるコンクリートの壁は屋根を支えず自立し、屋根との間にできた隙間が四周をまわる窓になっています。この窓は、街との関係をつくりつつ内部に必要な明るさを得るために、また夜間はクリニックから漏れる光が常夜灯のように町に安心感を与えるために存在します。1階は全てが診療スペースとなっており、中庭を中心にした回遊式の平面計画となっています。待合室・キッズコーナーには中空に浮いたプレイスペースがあります。見守りの出来る囲われた空間は子供達の基地であり、地域に開いた窓となっています。スタッフスペースのある2階は診察スペースのある1階とは意図的に切りはなした空間ではありますが、中庭の緑をふところにいだいた計画とすることでお互いの気配を感じあえる構成にしました。植栽は街とクリニック、1階と2階が程良い距離感となるために施されています。