かわつひろし建築工房 | MSI
22742
portfolio_page-template-default,single,single-portfolio_page,postid-22742,qode-social-login-1.0.2,qode-restaurant-1.0,,select-theme-ver-4.6,vertical_menu_enabled,wpb-js-composer js-comp-ver-5.5.5,vc_responsive

MSI

「海に出る準備が出来ている家」がコンセプトでした。

マリンスポーツが趣味のクライアントが選んだのは、東西22m、南北7mの細長い形で、東側は遊歩道を挟んで博多湾に面した敷地でした。海原きらめきと能古島や松原の自然あふれる景観や遠くに福岡市中心街とアイランドシティの都市景観を見渡す素晴らしい立地でした。同時に潮まじりの強い風を受ける厳しい環境でもありました。南北側の隣家が迫っていたこともあり、海を望む東面以外は守りを基本とした堅牢で開口を極力控えることが当初よりのイメージでした。マリンスポーツの準備や後片付けをするシーサイドポーチと西前面道路側にある駐車スペースとアプローチに挟まれる形で、敷地の中央に居住空間を配置しました。細長い敷地はおのずと東西の軸線を持ち、それに従って配置・平面計画を行いました。

クライアントの生活のイメージが整理されていたこともあり、計画では「海に出る・仕事に出る」ために1階は「衣・納」を、2階は「食・寛」を中心とした機能に明確に分けました。1階を中心にした様々な収納空間は延床面積の35%にもなり、この住宅の特徴となっています。冷暖房は小屋裏に配置した1台のACのみによる全館空調を試みました。リビングに設けたペレットストーブは視覚を含め、補助暖房として機能します。家型に穿った眺望を楽しむリビング東側の窓は、外部シェードにより遮光を行います。デッキテラスとそこに架けられたタープは、テラスでの活動を楽しむ際の日除けである共に、この家のそしてクライアントのライフスタイルの象徴としてデザインしました。

日差しの移ろいとともに刻々とその情景を変える博多湾の風景を楽しむこの家は、「海に出る・仕事に出る」気持ちのアイドリングと共に、夕暮れに似た暖かさと豊かさを感じる器となっています。

 

所在地:福岡県福岡市
敷地面積:153.16㎡
建築面積:74.41㎡
延床面積:132.04㎡
主体構造:木造
階数:地上2階建て
写真:YASHIRO PHOTO OFFICE